2011年5月に最終回を迎えた、「昭和の着物語り・今よみがえる90年前の色彩」では、栗谷家に伝わる大正から昭和初期の着物をご紹介いたしました。
引き続き、2011年7月より昭和40~50年代を中心に「昭和時代の着物」をご紹介して、はや1年が経過いたしました。
2012年7月からは、昨年ご紹介した帯には着物を、着物には帯を合わせてコーディネートした形でご覧頂きます。
【昭和の着物語りー季節の特集】
蝋月(12月)本疋田総絞りの長着に、波に椿の名古屋帯(昭和40年代前期)
安部麗子(あき渋谷店店長)所蔵
看々臘月尽(みよみよ ろうげつ つく)
師走になると、茶室によくかけられるお軸です。
蝋月は12月の別名で、私たちの人生も暗示しています。
看々とはよく見なさいという意味で、「12月も瞬くまに終わってしまいますよ」
と諭しています。
若き日にこの言葉に出会って以来、年末になると過ぎし1年を振り返り、これで良かったのかと反省が多く落ち込みます。
「光陰矢のごとし」12月が慌しく過ぎ去るのと同じように、人生もあっという間に過ぎ行きます。
来年は更に成長した自分でありたいと祈ります。
今月ご紹介するコーディネートは、昨年12月掲載の本疋田総絞りの長着に、黒繻子地に波と椿の柄の名古屋帯と鱗模様の名古屋帯です。(2011年12月掲載の本疋田総絞り長着のコメントは下方にあります。)
◆黒繻子の帯は当時流行した帯です。黒地は装い全体に緊張感を生み出し装いのポイントになります
◆波に椿の美しい模様です。
◆錆朱の絞りに、椿が良く映えます。この取り合わせで、お食事会や観劇など、気楽な場面で着用していました。
◆バストアップです。
帯締めは、からし色の御岳の手組です。
同色のちりめんの帯揚げを合わせました。
◆帯による背面の美です。
笨ソ次の帯は、鱗模様の全通し名古屋帯です。1枚の着物が帯により変化する様をご覧下さい。
着物1枚に帯3本と言われる意味がお分かりいただけますでしょうか。笨ソ
◆鱗模様の帯は、33歳の厄年に、厄除けとして舅から贈られたものです。
この帯も、なかなか良いのが見つからず、伊藤丸菱染物店の伊藤さんのご尽力により、踊り帯の中から探して届けて下さいました。
◆1枚紗をかけたような、霞がかった趣の帯です。
◆絞りの長着に鱗模様の盛装としてのコーディネートです。
本疋田総絞りの長着は、打掛の掛下にも用いられ、絞りの中でも別格です。
◆バストアップです。
格調高い鱗模様の金の帯に佐賀錦の帯締めを合わせて盛装になりました。
若き頃、このコーディネートで、お花の新年会にも出席いたしました。
◆後姿です。
◆最後に、帯合わせにより、1枚の着物の表情が変化する様を比較してみました。
いつもお読み頂き感謝しております。
皆様どうぞ良いお年をお迎え下さいますよう。
来年もよろしくお願いいたします。
☆2011年11月掲載の本疋田総絞り長着のコメントはこちらから
新年は、銀嶺の訪問着に松の袋帯のコーディネートをご紹介する予定です。
☆過去の「昭和の着物語り」はこちらから
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