今よみがえる90年前の色彩 12<最終回> | 着物レンタルあき
季節の特集 <最終回>


[昭和の着物語り 12] 

着物の更衣(ころもがえ)は6月1日ですが、お茶の世界では5月に一足早く、炉から夏仕様の風炉に変わります。例年ですと5月には、茶道の各流派で、初風炉の茶事が行われます。

「昭和の着物語り」最終回は、護国寺と上野寛永寺のお茶会でお召しになった着物を絹様のお孫様、名古屋聖子様にお召し頂きます。

☆蘇った色彩9 ☆ 

 

【扇の小紋】 

  

日本の伝統模様を施した寿光織の生地を、グレー地に染め、扇は型染め、更に手差しを加えた、地あきの上質な小紋です。柄づけが絵羽模様ではないために、小紋として分類いたしました。当時はこのような着物が多く見られます。

帯は見つかりませんでしたので、絹様所蔵の他の帯でコーディネートいたしました。


☆昭和13年3月23日 護国寺、不昧軒にてお点前をする絹様(左から2人目)

   注:護国寺不昧軒

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☆昭和16年10月3日 上野寛永寺出仕の間にてお点前をする絹様(右)

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☆昭和16年10月3日 上野寛永寺、玄関にて(後列左から2人目)

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☆セピア色の写真では分からなかった色彩豊かな着物です。

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<終了にあたり>

昨年6月から「昭和の着物語り」を連載して、はや1年が経ちました。力量不足でお目だるい部分も多かったと存じますが、お許し下さいませ。


「温故知新」という言葉があります。日本にはこんなに素晴らしい「着物文化」があったのだと、再確認して頂き、それが次の世代の人々へ何かのヒントになれば、この上ない喜びです。


下の写真は、昭和18年5月3日、絹様、最後のお茶会の写真です。栗谷家は戦時中の昭和19年に、神田から武蔵野市に転居します。着物が戦火から免れたのも、この転居が幸いいたしました。


約90年前の着物が良い状態で残り、その着物を着装した写真まであるのを発見して、文化的に貴重な資料であると確信し、「文化学園 服飾博物館」に着物の一部を、栗谷家が寄贈いたしました。


実は絹様の着物は、博物館に寄贈する以前に、私が先に頂戴しておりました。その中で特に文化的資料になると思った着物は栗谷家に戻しておりましたので、今回、皆様にご紹介する事が出来ました。


着物を提供し、取材に応じて下さった、友人の栗谷恵子さん、そして快くモデルになって下さった、栗谷家の次女聖子様に深く感謝いたします。


その他、着付けや撮影に携わった、「着物レンタルあき 渋谷本店」のスタッフ、ネット担当のスタッフたち、サポートありがとうございました。


最後になりましたが、1年前にこの企画を取り上げホームページ掲載を許可した、鈴木健太郎社長、そして陰ながら支えて下さった鈴木亜樹子会長のお力添えのお蔭で1年間休むことなく連載出来ました。


お読み頂いた方々をはじめ、「昭和の着物語り」に関わって下さった全ての皆様に感謝の意を捧げます。


                 

平成23年5月  着物レンタルあき渋谷本店 安部麗子


☆昭和18年5月3日  上野寛永寺 出仕の間にて(後列左)

出征する方のための茶会でしょうか。この写真が、最後のお茶会の写真になります。不幸な戦争は二度としてはなりません。

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