[昭和の着物語り 10]
☆蘇った色彩7☆
水ぬるむ気候になりました。春はまた、別れの季節でもありますね。
今回は「着物から羽織そして着物へ」と1枚の着物の変遷をたどります。
併せて、「卒園式や入学式の付き添いの着物」をご提案いたします。
現代に生きる私たちに、何かのヒントになれば幸いです。
着物から、羽織、そして着物へ
【四君子柄小紋の物語】 昭和9年11月22日撮影
今回ご紹介するのは、前列右側の絹様の着物です。
深みのある紅藤色の地に、染め匹田の七宝紋と梅、竹、菊、蘭の四君子の吉祥模様の小紋です。
☆この着物を私が頂いた時は、羽織でした。
手元の羽織を見て、着物に直して着てみたいと思い、着物に仕立て直しました。
昔の羽織は、着物に仕立て直す事が出来るように工夫されているのです。
☆着物に直した後で、上の写真を発見しました。何と最初は着物だったのです。
☆着物を羽織に仕立て直し、そして現在は元の着物として着用しているという
この着物の変遷を写真によって知ることが出来ました。
【無地三つ紋の長羽織】
やや大ぶりな源氏車に花柄の地紋が、「絹様がお若かった頃お召しになっていたのでは」と想像させる、紺桔梗色の無地長羽織です。
栗谷家の家紋、「抱き茗荷」が染め抜きで背中心と両袖に施されています。
羽裏は可愛いわらべ模様です。笛を吹いている童が目立ちましたので、もしかしたら五人囃子?と心躍ったのですが、そうではありませんでした。
しかしこの羽織をはおって、様々な童を纏っていると思うと、優しい気持ちになって来るから不思議です。
先にも説明しましたが、この羽織も無地の着物に直す事は可能です。
【四君子の小紋に長羽織】(卒園式、入学式に付き添いのお母様の装い)
左は小紋に帯つきです。写真の帯はみつかりませんでしたので、昭和40年代の名古屋帯を合わせました。
右は、長羽織をはおったスタイルです。
幼稚園の卒園や入学式における、付き添いのお母様の装いとして、お目出たい模様の小紋を着用して、その上に無地の長羽織をはおったら、控えめな中にも、キラリと光るコーディネートになるかと思います。
昔の人は、着物は軽くして、その上に紋付羽織を着用し、装いの格を上げていました。
慶事はもとより弔事にも、地味なお召に黒紋付の無地羽織を合わせて、半喪の装いの一つとしていました。
こちらはバストアップの画像です。
羽織紐の代わりに、ティファニーのブレスレットで遊んでみました。
着物をコーディネートする際に、どこか一つ工夫してみるのも楽しいですね。
#着物レンタルあきでUPしよう!