56年制作 安部麗子(あき渋谷店店長)所蔵
東京は新緑が目にまばゆい葉桜の季節になりました。
お茶の世界では、五月になると本格的な夏にさきがけて、炉から夏仕様の風炉に変わり、初風炉の茶事が催されます。
茶人はそれぞれ着物にも趣向を凝らし、菖蒲などの季節の花模様の着物や端午の節句に因んで、鎧おどしの帯を纏ったりして季節感を表現し、ひとときを優雅に楽しみます。
今回ご紹介する色留袖は、当時ニューヨークファッション工科大学で着物ショーと個展を開催し、海外で絶賛を浴びた、若き日の二代目清次郎先生ご本人に選んで頂いた着物です。
描かれている花が、椿のようでもあり、深緑の葉は石楠花の葉のようにみえます。
清次郎先生に「この花は何の花でしょうか?」とお聞きしましたら、「清次郎の花です。」とのお答えでした。
色留袖にしては、かろやかな趣なので、綴帯を合わせて五月に着用することが多い着物です。
結婚式からパーティまで着用範囲を広げるため、家紋は目立たないけし縫いにいたしました。
いづれ着物に帯を合わせたコーディネートをご覧頂く機会があるかと思います。
◆上前から後身頃にかけ、すっきりとした裾模様の構図です。生地は裾が濃いグレーでぼかしになっています。
◆上前の模様です。石楠花の葉を連想させる深緑の色彩が全体を引き締めています。
◆わたくしの目の前で揮毫して下さった落款です。
◆目立たないように、けし縫いで家紋をいれました。
◆清次郎先生は、現在も精力的に着物の制作に打ち込まれていらっしゃるご様子、大変うれしく存じます。
どうぞ、ますます良い作品を世に送り出してくださいますようにと願っております。
◆6月は、水辺模様の単衣訪問着をご紹介させて頂きます。
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