2011年5月に最終回を迎えた、「昭和の着物語り・今よみがえる90年前の色彩」では、栗谷家に伝わる大正から昭和初期の着物をご紹介いたしました。
引き続き、2011年7月より昭和40~50年代を中心に「昭和時代の着物」をご紹介して、はや1年が経過いたしました。
2012年7月からは、昨年ご紹介した帯には着物を、着物には帯を合わせてコーディネートした形でご覧頂きます。
【昭和の着物語りー季節の特集】
卯月(四月)「本手描友禅訪問着」に「牡丹唐草金襴本袋帯」-昭和40年
安部麗子(あき渋谷店店長)所蔵
牡丹花は咲き定まりて静かなり
花の占めたる位置の確かさ
(木下 利玄)
高校時代の国語の教科書でこの和歌に出会いました。
以来、半世紀以上心に残る好きな歌です。
特に、咲き定まった牡丹花の「位置」という言葉に惹かれています。
土の中から自然に生えて咲いた牡丹花が、葉や茎と絶妙なバランスを保ち、観賞する人々に静かな緊張感を与える様子を描写した歌であってほしいと思っているのです。
しかし茶室のお床に、私の一番好きな高麗青磁の花器に生けられた牡丹も、凛として近寄りがたい美しさです。
作者はどのような思いでこの歌を詠んだのでしょうか。
今月ご紹介する、牡丹唐草金襴の袋帯は、昨年ご紹介した「牡丹模様の訪問着」に合わせて、昭和40年に購入したものです。(2012年4月の本手描き友禅
訪問着のコメントは下方にあります。)
◆「牡丹唐草金襴本袋帯」は、手機で袋状に織られています。やわらかい感触で50年近い歳月を感じさせません。
この帯は色無地に合わせて濃茶点前の際などにも愛用しています。
◆裾から立ち上がる流水にぼたんの模様が、小柄な私でもすっきりと見え、計算された構図です。
◆バストアップです。
重厚感のある訪問着なので、帯〆は丸組みを使用いたしました。
◆上前の模様です。
◆格調高いお太鼓結びです。
☆2012年4月掲載の「本手描き友禅訪問着」のコメントはこちらから
☆今月は着物も帯も人の手作業による旧き良き時代の一揃いをご紹介いたしました。
来月は「二代目清次郎作の色留袖」に綴帯を2種、合わせて、装いの変化をご覧頂きます。
☆過去の「昭和の着物語り」はこちらから
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